Editer Yosuke Hayasimoto (Sonascribe)
こんにちは!sonascribeの林本陽介です!
Beatlesで僕が大好きな曲の一つにIf I Fellという曲があります。
ジョンとポールのコーラスワークが際立つとてもきれいなバラードです。
大好きな曲ですのでやっぱり、ギターデュオ向けにアレンジして自分たちでも演奏したいと思っております。
ところがこの曲、そのキレイで柔らかなイメージとは裏腹に、コード進行といい、メロディーの乗せ方といい、とても変な作りになっているのです。
イントロのメロディーが独特でなんでこのコードにこのメロディーがのっているのだろうと、長い間謎がとけないままでした。
ですが勉強を重ねるうちにちょっとずつアナライズができるようになりました。
謎のコード進行とメロディーについての考察を紹介いたします!
まずイントロの半音進行の三つのコード、これ何なのでしょうか。
Em♭からD♭7へ向かっているとすると、Em♭-A7♭-D♭という2-5の変形版として考えてみましょう。
とすれば真ん中のDはA7♭の代理コードとして考えることができます。
ある7thコードの減5度上の7thコードのはかわりに使うことができるのです。
D7とA♭7は共にD♭への強い流れを感じさせるコードのなのです。
ここでDがA♭の代理として次のコードへの強い流れを意図して使われていることの裏付けをメロディーで見出すことができます。
Dの部分でのメロディーはとても変な音使いになっています。どうもDのコードトーンとはかけ離れています。
メロディーをDから見た度数であらわすと、
M3,♯11(♯4),1,2,M3, 1
これらの音はどのように解釈すればよいのでしょうか?
全音のインターバルを持ったホールトーンスケールと捉えるのが一番しっくりくるのではないでしょうか。
ジャズではこの半音進行の流れはよく使われます。
その真ん中の7thコード上では不安定な音階を弾き、次のコードでしっかりとコード内の音に落ち着くというアプローチがよく使われます。
オルタードスケールやコンディミなどが代表格ですが
その不安定な音階の一つがこのホールトーンスケールというわけです!
そして次のD♭の次のB♭mは似た響きなので同じような機能のコードが二つ続くといった感じです。
そしてAメロへの入り前のEmがポイント!
直前のD7ではやはり、不安定なホールトーンスケールのメロディです。
これまでのDはA♭7の代理としてD♭への流れを作ってきました。
しかしD7には強力な引力を持った行き先がもう一つあります。
それがGです。
A♭7とD♭の関係と同じです。指板上の位置関係で比べるとわかりやすいと思います
さらにGとEmはとても構成音が似ているため、代わりに使うことができます。
よってここでEmが登場するわけです。
しかしここでそのままGメジャーに転調するわけではありません。
A7が登場しDにいく流れをつくりあげます。
2-5です。
こうしてイントロのD♭のキーから半音上のDに転調し、Aメロが始まるわけです。
長らく聴き続けてきた曲ですが、まさかジャズの技法がビートルズのメロディの中にあるとは思いもよりませんでした。
イントロの独特のふわふわした感じはホールトーンスケールによるものだったんですね。
ですがジョンはそんなこと意識してないんでしょう、きっと
勉強やこのような分析を通して偉大なミュージシャンのセンスを吸収していけたらと思います。